BLUE GIANT/石塚真一:とにかく熱い、むさ苦しいほどに。

 ジャズプレイヤーを目指す高校生、大(ダイ)の青春を描くこの作品、とにかく熱い。むさ苦しいほどに熱い。

 

そして主人公の思いは読んでいるこちらが気恥ずかしくなるほどのまっすぐさ。そう、誰もが自分の青春時代のまっすぐさを思い出してしまい、なんとも言えない思いになるのだと思います。

 

 

 漫画の中には大の周りに多くの人が登場します。レギュラーで長く登場する人も居ますが、多くは1回のエピソードを描くために登場します。

 

この辺り、大の音楽世界があくまで孤独なものであることを示唆しているように思います。音楽のプレイヤーというのはどうしても大量の練習時間を取らなければならない。

 

それは本当に孤独な時間、一人で自分に向き合う時間を大量に消費することでプレイヤーとしてレベルを上げていくことができる。

 

この作品の中でも一人、川原で練習し続ける主人公が描かれます。かなり意識して主人公の孤独を描いていると思います。

 

それはネガティブな意味での孤独というよりもショーペンハウアー的なポジティブな孤独とも言えると思います。

 

だからこそ、主人公と関わる登場人物との物語には一期一会といえるような真摯な思いを感じ取ることができます。

 

 

コミックではボーナストラックとして登場人物たちが大との思い出を語るシーンが掲載されています。このボーナストラックを読むと大が世界的なミュージシャンになっていることが示唆されています。

 

 

一番好きなシーンは第3巻の文化祭のシーンです。音楽の先生とともにジャズを演奏するシーンは感動的で泣けてきます。音楽を愛する人の思い。音楽の先生ってそもそも音楽が好きなんだよなぁ。と私の学生時代の音楽の先生たちに少し申し訳ない思いも感じたりしました。

 

 

物語はまだ序章といったところではありますが、この先が楽しみな作品です。