「かくかくしかじか/東村アキコ」久々に何度も読んだ漫画です。

作者が青春時代にお世話になった絵画教室の先生との交流を描くこの漫画は第8マンガ大賞を受賞しています。

 

先生は最初にとても厳しい人として登場しますが、話が進むにつれてその厳しさには慣れてしまって愛おしい人物に変わっていきます。

 

 

基本的には面白いおっさんのエピソードを紹介するギャグ漫画なのですが、実在の人物をモデルにしていること、作者のいわゆる師匠にあたる人ですから先生への情というか過去への後悔の念のようなものが全体的にあって、切ない雰囲気も漂っています。そのバランスが絶妙と言える作品です。

 

 

一番好きなシーンは第4巻の明子と先生が庭に植えるためのニホンタンポポをとりにいくシーン。先生の美しいものに対する無邪気さとかわいさがあふれる素晴らしいシーンです。

 

 

この漫画はすでに完結しています。ある程度の長さで完結しているというのは昨今の漫画では少ないのですが、これもこの漫画の質を高めていると思います。

 

 

最終巻は涙なしでは読めない。作者自身の「お涙頂戴もの」にしたくないという思いのようなものがとても良い雰囲気を出しています。

 

 

最近では漫画を買ってきても一度しか読まなくなった私ですが、この本は何度も読みます。そして何度も泣きます。

 

 

素敵な漫画だと思います。